行政書士の難易度は?試験の合格点や偏差値ランキングを徹底解説

行政手続きを専門とする国家資格の「行政書士」。毎年約4万人が受験する人気の国家資格です。

行政書士の資格取得を検討している方の中には、難易度が気になるという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、行政書士の難易度を徹底解説。行政書士の試験内容から、合格基準・合格率に至るまでを詳しくまとめています。

行政書士と他の国家資格との難易度比較も行っています。ぜひ参考にしてみてください。

行政書士とは?

行政書士とは、行政手続きを行う法律家のことです。行政書士の仕事内容には以下のようなものがあります。

行政書士の仕事内容
  • 官公署(各省庁、都道府県、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成と代理
  • 官公署に提出する書類の相談
  • 権利義務に関する(遺産分割協議書、示談書、協議書、内容証明書、告発状など)書類の作成と代理
  • 権利義務に関する書類の相談
  • 事実証明に関する書類の作成とその代理
  • 事実証明に関する書類の相談

行政書士の仕事は、遺言書や契約書の作成など「暮らしに役立つ相談」から、法人関係手続きや許認可申請など「ビジネスに役立つ相談」まで多岐に渡ります。

生活のあらゆる場面で書類の作成は必要不可欠なため、官公庁への書類申請が必要な限り、安定した需要がある職業です。

行政書士試験の概要

まずは、行政書士試験の概要を確認していきましょう。

ここでは、行政書士試験の受験資格や受験料・試験日などを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

1受験資格

行政書士試験は「年齢」「学歴」「国籍」等に関係なく、誰でも受験できます。

行政書士の試験を受けるのに、一切の制限はありません。受験料さえ支払えば、何歳からでも受験可能です。

2試験日・試験会場

行政書士の試験日時は以下の通りです。

  • 毎年1回・11月の第2日曜日(午後1時から午後4時まで)

行政書士の試験は原則として、年に1回のみです。

ただし、有事の際など例外的に変更になる場合もあるので、試験を受ける方は公式ページの情報を参照するようにしてください。

試験場所は毎年7月の第2週に公示されます。現住所や住民票記載の住所に関係なく、全国の試験会場での受験が可能です。

試験会場を事前に確認しておき、できれば一度足を運んでおくと安心です。

3受験料

行政書士試験の受験料は7,000円です。住んでいる地域や年齢にかかわらず、受験料は一律となっています。

 支払った受験料は、試験が実施されなかった場合を除き返還されません。

体調不良などで受験できなかった場合も受験料は返ってきませんので、覚えておきましょう。

行政書士の試験内容

行政書士の資格取得を検討している方の中には、行政書士の試験内容が気になるという方も多いのでないでしょうか。

そこで、行政書士の試験内容を解説。必要科目や配点などをまとめています。ぜひ確認してみてください。

1行政書士の試験科目

行政書士の試験科目は大きく行政書士の業務に関し必要な法令等」「行政書士の業務に関連する一般知識等」2つがあります。

法令等(46問・244点)
  1. 憲法
  2. 行政法
  3. 民放
  4. 商法
  5. 基礎法学
一般知識等(14問・56点) 政治・経済・社会・情報通信・個人情報保護・文章理解

行政書士の試験は合計300点満点です。配点は法令等が244点。一般知識等が56点となっています。

 全体の80%以上を法令等が占めており、法令等を攻略できるかが行政書士合格の鍵です。

さらに、詳細な配点を以下にまとめています。ぜひ目を通してみてください。

科目別配点(2019年度)

科目 配点(問題数)
基礎法学 8点2問
憲法 28点(6問)
行政法 92点(21問)
民法 76点(11問)
商法・会社法 20点5問
政治・経済・社会 28点7問
情報通信・個人情報保護 16点4問
文章理解 12点3問
合計 300点(60問)

科目別の配点を確認すると、最も配点が高いのは行政法です。次いで、民放となっています。この2科目だけで、全体の50%以上の得点を占めています。

行政書士の試験を受験するのであれば、配点に基づいた対策も必要です。

2問題形式(問題例あり)

行政書士試験の問題形式は、「択一式」「記述式」です。法令等と一般知識等で問題形式が異なっています。

法令等
  • 5肢択一式
  • 多肢選択式
  • 記述式
一般知識等
  • 5肢択一式

行政書士の試験で最も出題数が多いのは、1から5までの選択肢から正解を選ぶ「5肢択一式」の問題です。実に300点中216点を5肢択一式が占めています。

【5 肢択一式問題サンプル】

罪刑法定主義に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 罪刑法定主義は、イギリスのマグナ・カルタにその淵源を求めることができ、その後、 フランス人権宣言等で明 文化されたが、近代の全体主義的な国家においてこの原則は 軽視されがちであり、ナチス時代のドイツ改正刑 法は罪刑法定主義の一内容である 類推解釈の禁止を定めているにすぎなかった。

2 罪刑法定主義は、わが国の刑法典では、明文上規定されておらず、また、その他の法 令においても、根拠規 定と解されるものが存在しない。

3 類推解釈は法解釈の方法として一般に認められるが、刑法上は、刑罰法規を逸脱して 恣意的に刑法を適用す ることは個人の自由を侵害することになるので、原則として禁 止される。もっとも、判例上、被告人にとって有利な 方向での類推解釈については許 容されている。

4 罪刑法定主義の派生原則には、たとえば「……した者は刑に処する」というように、 刑種と刑量をともに法定しな い絶対的不定刑の禁止の原則も含まれるが、「……した 者は懲役に処する」といった刑種だけを法定する場合に は、罪刑法定主義の最低限の 要請を満たす以上、この原則に反しない。

5 罪刑法定主義の派生原則である慣習刑法排除の原則は、法令に根拠を有しない慣習お よび条理を基に犯罪 の成立を認めて刑罰を科すことを禁止しているから、刑罰法規の 解釈や違法性の判断等に関して、慣習・条理が 刑罰法規の補充的機能を持つことも許 されないとする。

次いで、配点が高いのは「記述式」問題です。記述式問題は法例等でのみ出題されます。配点は全体の20%にあたる60点です。

【記述式問題サンプル】

以下に引用する国家公務員法57 条による職員の採用は、行政法学上、行政行為の1類型にあたると される。 その類型は、行政法学上、どのような名称で呼ばれ、どのような行為であるとされているか。40 字程度で記述し なさい。

<国家公務員法> 第34 条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 採用 職員以外の者を官職に任命すること(臨時的任用を除く。)をいう。

(第2号以下略) 第57 条 選考による職員の採用は、任命権者が、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的 な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者 の中から行うものとする。

最も配点が低いのは、枠内(1~20)の選択肢から空欄ア~エに当てはまる語句を選ぶ「多肢択一式」の問題です。

2019年度の試験では、24点分が「多肢択一式」の問題でした。

【多肢択一式問題サンプル】

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢1〜20から選びなさい。

被告人は、厚生労働大臣官房統計情報部社会統計課長補佐であり、庶務系、企画(ア)係および、技術開発担当として部下である各係職員を直接(イ)するとともに、同課に存する8名の課長補佐の筆頭課長補佐として、他の課長補佐等からの業務の相談に対応するなど課内の総合調整等を行う立場にあり、、以下省略

※選択肢
1奉仕者、2指図、3指導、4被用者、5総務、6立案、7政治、8経理、9指名、10勤労者、11教授、12営利、13経済、14指揮、15指導、16配慮、17請負人、18平和、19社会、20使用者

行政書士の合格率・合格基準

次に、行政書士の合格率を確認していきましょう。

過去10年間の合格率を以下にまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

年度(受験者数) 合格率(合格者数)
2019年(39,821人 11.5%4,571人
2018年(39,105人 12.7%4,968人
2017年(40,449人 15.7%6,360人
2016年(41,053人 10.0%4,084人
2015年(44,366人 13.1%5,820人
2014年(48,869人 8.3%4,043人
2013年(55,436人 10.1%5,597人
2012年(59,948人 9.2%5,508人
2011年(66,297人 8.1%5,337人
2010年(70,586人 6.6%4,662人

行政書士・過去10年間の平均合格率は約10.5%です。

受験者数は年々減少傾向にあり、近年は毎年4万人程度が受験しています。

一方で、合格率は近年ほど高い傾向にあります。しかし、行政書士の試験難易度が下がったわけではなく、受験者数の減少が合格率が高くなっている理由です。

行政書士の試験には、絶対評価制度が採用されています。

絶対評価制度とは、一定の基準点さえ満たせば、周囲の得点に関係なく合格する仕組みのことです。

また、行政書士の試験では合格定員が定められていません。合格基準点さえ獲得すれば、1年間に何人でも行政書士の資格を取得できます。

合格が他の受験者に左右されないため、行政書士は努力が実りやすい試験と言えるでしょう。

行政書士の合格基準

行政書士の合格基準は以下の通りです。

行政書士の合格基準
  1. 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50%以上(122点以上)である者。
  2. 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40%以上(24点以上)である者。
  3. 試験全体の得点が、満点の60%以上(180点以上)である者。

上記(1)〜(3)全ての条件を満たせば、行政書士の試験に合格となります。科目ごとに合格ボーダーが決まっているので、必ず確認しておきましょう。

 行政書士の合格基準で、とくに注意したいのが(1)と(2)の条件を満たしたからといって、(3)の条件が満たされるわけではないことです。

行政書士の試験に合格するには、法令等科目で122点・一般知識等科目で24点以上獲得する必要があります。

しかし、科目ごとの合格点数を足しても146点。試験全体の合格ラインである180点に34点足りません。

行政書士に合格するには、科目ごとの合格得点をあくまで最低ラインとして、試験全体で6割以上の点数が必須です。

行政書士の難易度は?国家資格偏差値ランキング比較

行政書士の試験難易度は「中」です。

以下、行政書士と他の国家資格の合格率・偏差値を表にまとめています。

国家資格 偏差値(2019年度合格率)
弁護士 75(33.6%)
司法書士 74(3.6%)
税理士 70(18.1%)
弁理士 70(18.3%)
公認会計士 69(10.7%)
中小企業診断士 63(18.3%)
社会保険労務士 626.6%
行政書士 5911.5%
FP技能士1級 57(8.45%)
宅地建物取引士 5517.0%

行政書士は、とくに他の法律系国家資格に比べて難易度が低めと言えます。

行政書士の難易度が低めと言える大きな理由は絶対評価制度だからです。行政書士試験では、合格基準点数が事前に決まっています。

 合格点さえ獲得すれば、他の受験者の点数にかかわらず確実に合格が可能です。

一方、通常の司法試験では相対評価制度が採用されています。そのため、高得点をとっても周囲の点数次第で合否が左右されます。その分、難易度は高くなりがちです。

また、試験内容も他の法律系国家資格に比べて難易度が低めに設定されています。

ただし、難易度が低いのは、あくまで法律系国家資格と比べた場合です。行政書士の試験が簡単という訳ではありません。

実際、行政書士の合格率は約10%程度。大半の人は試験に落ちているのが現状です。

これらのことから、行政書士の試験難易度は「中」と言えるでしょう。

【まとめ】行政書士の難易度

ここまで、行政書士の難易度について解説してきました。

行政書士は法律系国家資格の中でも、比較的難易度が低めの試験です。独学でもしっかり勉強すれば、合格の可能性は十分あります。

試験は絶対評価制度。合格基準点さえ獲得できれば、確実に試験に合格できます。勉強の質や時間が合否に直結しやすいのがメリットです。

ぜひこの記事の内容を参考に、行政書士の資格取得を検討してみてください。

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